旅 1557 清藤氏書院庭園 (国名勝文化財)

2017年 7月23日  
清藤氏書院庭園 (国名勝文化財)

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 猿賀神社の東隣には国指定名勝の盛美園がある。もう夕方に近く閉園時刻もせまり、ゆっくり観る時間が無かったので入らなかったが、すぐそばにある清藤氏書院庭園は短時間で観られそうなので入った。両方、有料であるが、もちろん盛美園の方が高い。

 盛美園には入らなかったが、入口の説明を載せておく。
現地説明板より
『 説明
 盛美園は他県には見られない武学流庭園である枯山水池泉廻遊式で面積一町三段歩津軽の大平野梵殊山、岩木山などを借景とし規模豪壮華麗しかも芝生の大築山に上れば深山幽谷に遊ぶ感がある池に蓬莱島あり亀鶴の遊暢を見一名蓬莱園とも言われる
 名匠小幡亭樹氏の作で明治35年着工し完成まで9年を閲した畢生の傑作である
 昭和28年3月31日名勝として指定された 』


 この「盛美園」を造ったのは清藤家24代当主の盛美で、明治末に別邸隠居用として作庭したという。
 清藤盛美の本業は農業で豪農であったが、政治家や経済人としても活躍した人物で、戸長や村長を勤める傍ら青森商業銀行・尾上銀行創立にその手腕を発揮したという。
 盛美園の中には、和洋折衷のような盛美館がある。
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 清藤氏書院庭園を観るためには清藤氏邸へ入らなければならない。盛美園も含めて清藤家の所有らしい。盛美園の中には和洋折衷のような盛美館があるが、現在住んでいるのはこちらの和風の邸宅であるようだ。
 この建物も指定を受けているようある。当主の話では茅葺きの屋根を葺き替えるだけでも数千万円かかるという。
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 見学にあたって、プリントを頂いたが、先ずは説明板から載せる。

現地説明板より
『 名勝庭園国指定 清藤氏 書院庭園
一、名勝庭園国指定 文部省告示第140号指定 名称「清藤氏書院庭園」
一、様式 平庭式 枯山水 観賞式
一、面積 593㎡(約180坪)
 清藤家本邸庭園は、寛永年代に、配流の花山院忠長卿が清藤家に来留(忠長卿筆猿賀山縁起清藤家保存)の折に始まり、その完成は、元禄年代における、野元道玄であると伝えられてきている(名勝国指定申請書)
 本庭園は、津軽地方に伝承される、所謂武学流の形式に成る作庭の、初期のものとして考えられる。貴重な庭園である。(名勝国指定説明文)。
 本庭第一の主景は、枯滝石組である。一見して、迫力と雄大感がある構成であり、非常に大きな、広がりを見せている(東京日本庭園研究会会長吉河功)。
 この庭園を南面に眺める、清藤家(現在も居住本宅)本邸を、清藤家第24代盛美は明治6年に新築し、明治末には、同一邸内北側に、下屋敷(現名称盛美園)を別邸隠居用として作庭した。また、第25代辨吉は、金蒔絵壁画清藤家位牌堂(現在御宝殿または大日如来堂とも称している)を大正6年に造営した。
 庭園の造形美について、代表的な武学流八庭園の総合的なアンケート(平成元年「庭研」第263号記事)に、清藤家本邸庭園は第一位に、第二位山内邸庭園、第三位瑞楽園庭園、第四位清藤家盛美園庭園、第五位鳴海久兵衛邸庭園、(他省略)、と評価された。
 清藤家本邸庭園は、文化財保護法第69条によって、昭和54年8月7日付名勝庭園国指定になっている名園である。
  平成元年8月7日  』

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 家の中には、清藤家第24代盛美さんのものだろうか、肖像画も飾られいた。

 部屋を通って、庭園が見える縁側に通された。私が質問をすると、「今日は主人がいますから」といって、何代目かは分からないが当主を呼んでくれた。お茶もいただいた。

 いろいろ庭園について説明して下さったが、話しているうちに私がそれほど庭園に興味がないことが分かったのか、話は津軽のことや歴史のことになった。私もいくつか質問して、貴重な話を聞けた。この方は既に退職しておられるが、県の職員(あるいは県の仕事に関係した人)であったようだ。地元の名家の出身だから県の職員であればそれなりの役職に就いていた方かもしれない。
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 頂いたプリントから載せる。

『 国名勝庭園国指定 清藤氏 書院庭園
1、国指定 名称「清藤氏書院庭園」 官報15766号 文部省告示第140号
2、様式 平庭式 枯山水 観賞式
3、面積 593㎡(約180坪)

一、由来
 清藤家本邸の盛美園、即ち国名勝文化財、清藤氏書院庭園は、寛永年代に、朝廷の生活に慣れ親しんでいた公卿花山院忠長卿が清藤家に来留(公卿忠長卿真筆保存)の折に、欅(昭和31年に樹齢約七百年の「唐糸の欅」として、県から指定された名木「唐糸の欅」であったが、道路舗装後枯れる枝が出てきて53年に伐採され、現在はその子欅が育てられている)を庭木として作庭した事に始まりその後、元禄年代における京都の茶人・茶道宗匠野本道玄が更に手を加え、造園していると伝えられている(名勝国指定申請書)。

二、庭園の景観
 清藤氏書院庭園は、書院の南面にある平庭枯山水である。
 東南隅に滝石組があり、枯池があり、枯池の岸は低く平らな石組をめぐらす。西方に蹲踞があり、飛石を配し、奥塀際に大石を点在させる。
 江戸時代末期の作庭と考えられ、津軽地方に伝承される所謂武学流の形式になる作庭の初期に属するものとして貴重である。(名勝文化財保護法指定理由説明文) 
 本庭第一の主景は、枯滝石組である。一見して、非常に迫力と雄大感がある構成であり、大きな広がりを見せている。滝に対する遠山石の造形は、修学院離宮下の茶屋庭園の滝に実例があるが、本庭の遠山石はかなり離れた奥にあるので、特に奥行きが深く見える(東京日本庭園研究会会長吉河功)。
 書院からの眺めは、深みどりの大自然に神が住まいして神威潤うみ山の、豪快壮麗な枯滝渓谷。流れゆるやかになって、川床に苔が生え、水清らな、枯流の中央浅瀬に、庭石としての礼拝石と、西の蹲石(つくばいいし)に配置されている飛石。昼は、力と希望と幸福を与えて日輪かがやき、夜間には、星空に月美しい礼拝石南方は連山連峰のように三尊のいちい。朝明けの木陰に小鳥さえずる枯滝山奥から、西のかた山里にわたる連山山脈の、しゅんけんな山すそに点在するような巨石の中間に岩戸石。その近くに、また、石段が見える山路に人間がどこかにいるような感じの野夜灯。夕空に、暮れなずむ大形の太陽が赤く燃え映るさつき松の陰に雪見灯ろう。西側の六角灯ろうと蹲石とがある村里奥には、樹木に囲まれて庭祠があり、心身が洗われるような、神々しくおちついた、杉疎林の傍に、華やかな清々しいあたたかさで、人里らしい辛夷(こぶし)と山桜が静まりかえっている。
 など、など。春は桜、初夏になって、さつきの花を舞台に蝶が舞い、うぐいす来り鳴き、秋はりすが訪ね来り、冬は雪の晴れまに松の緑があざやかな清純な姿。と、本園は四季それぞれに小鳥さえずる趣深い美しい大自然の、千変万化する神秘な、不思議な世界に、私たちを案内してくれる。

三、名園としての評価
 庭園の造形美について、国指定瑞楽園庭園、清藤家本邸庭園、清藤家盛美園庭園三庭を含む代表的な武学流八庭園についての総合的なアンケート(平成元年「庭研」第263号記事)に、清藤家本邸庭園(国指定名「清藤氏書院庭園」)は第一位に評価されていることでも納得されるように、本庭園は大石武学流庭園美の源になり、また、手本となった、武学流随一の名園である。
 京都の龍安寺庭園は、海の景観を百坪あまりの庭園に再現した名園であるが、陸奥尾上町の清藤氏書院庭園は、人間が生活している陸の大自然を二百坪足らずの庭園として再現した、幽玄にして、剛健壮麗な名園である。
 文化財保護法第69条第一項の規定によって、史跡名勝庭園文化財に国から指定された青森県の三庭園は、国の財宝であり、県の宝玉である。 』


 このプリントは、庭園に関する雑誌の、当該ページをプリントしたもののようだが、「二、庭園の景観」では、これだけの庭園によくこれだけの美辞麗句を並べられるなあと執筆者の文才に感心した。
 素人の私が観たところでは、それほど大仰な庭園には見えなかった。

 私が関心をもったのは、この庭園に樹齢約七百年の「唐糸の欅」があったということだ。説明文には、「道路舗装後枯れる枝が出てきて53年に伐採され、現在はその子欅が育てられている」とある。
 その木の写真を撮った。
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 この欅は、道路と庭を隔てる塀際にあった。伐採される前の写真を見ると、遠くからでも目立つ大木で、こんもりと茂った枝の南側が大きく道路に張り出していた。

 当主の清藤さんによれば、唐糸御前を祀る祠もあったというので、その場所の写真も撮った。
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 この欅は、藤崎の唐糸御前の冥福を祈るために植えられたという伝説がある。
 この旅では、唐糸御前の史跡も訪れようと考えている。
 唐糸御前は、鎌倉の第5代執権・北条時頼の寵愛をうけたが、周囲の妬みを受け、津軽の藤崎に落ちのびて暮らしたとされる女性である。

 そして、この清藤家の祖先は鎌倉執権北条時頼の家来で、唐糸御前と共に津軽に来たという。津軽が執権得宗領であったことから、考えられない話ではない。
 11代長兵衛は田舎館城主の千徳政武と交際あつく、津軽為信の意を受けて服属を勧める使者になった。交渉はまとまらずに田舎館城は落城するが、千徳氏からもらったと伝えられる香炉は今も清藤家にあるという。

 清藤家の屋敷が、猿賀神社の東側にあることを考える時、清藤氏と猿賀神社には何らかの繋がりがあったことが予想される。

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